2017年4月19日水曜日

杖道上達講座 その6:帯刀の仕方

前回、と言ってももう2か月も前の話になっちゃいましたけど、太刀の持ち方をやりましたので、今回は帯刀について注意点というか、気を付けたいところをやってみたいと思います。

初段を貰って稽古が進むと、帯刀から始まる型が出てきますね。
10本目・正眼と、12本目・乱合です。

それまで全然必要なかったので、「じゃあ10本目の打太刀ね」と言われて面食らう、これは杖道修行者あるあるではなかろうかと思いますので、写真を見ながら追っかけてみましょう。


まずは一番多用するであろう、「開始線まで戻ってきて、構えを解いた姿勢からの帯刀」について。2パターン有りますが、1つ目のパターンA。

構えを解いた姿勢から、左手を離して、親指で木刀を差し込む場所を探ります。
鞘がある場合の、鯉口を探る動作に該当するわけです。

木刀を上から返して、左手の親指と人差し指の谷間に置きます。
(※1)

木刀を谷間に乗せたまま右前方にそっと滑らせて、
左手親指で探って開けた穴に切っ先を落とします。

木刀を差し込んで行きます。

差し込み終わると同時に、右足を左足に引き付けて完成。
いわゆる納刀の動作に近い。
杖道では、「柄頭が正中線」が定位置です。

※1の部分、2つ注意点がありまして
1.左手で帯刀する場所を探る間、木刀は動かさないこと。写真ではセルフでシャッターを切らねばならぬ都合上動いちゃいましたけど、ダメ、絶対。
2.刀を上から返すときに、刀を避けるように首を傾けちゃう人がいます。ダメ、絶対。
姿勢はキープしたままで、刀だけを動かすんですよ。


次に、パターンB。
左手を離して、刀を差し込む場所を探るのは一緒。

今度は下から刀を返して、左手親指は差し込んだまま左手に挟みます。

木刀を左手に挟んだまま右前方に滑らせ、
切っ先を左手親指で開けた場所まで誘導します。

切っ先が入ったら木刀をゆっくり差し込んでいきます。

差し込み終わると同時に、右足を左足に引き付けて完成。


今のところ、どっちのパターンでもいいよ、好みでいいよ、ってことになってます。
ただ、「真剣だったらパターンBは使えないだろ」っていう意見も根強いですね。
パターンA の場合。
形が汚いのは勘弁。

パターンBの場合。
手が斬れちゃ~う!!

まあ、私はパターンBを愛用してますが、特に何か言われたことは、ないです。
現行の教本(もうじき新版に置き換わります)には「右手で刃を上に柄を返しながら剣先を腹部の左手に送り」って書いてあって、どちらでも記述には合致してますね。

そこら辺の話は偉い先生方におまかせするとして、続いては「携刀(けいとう)からの帯刀」について。
まずは提刀(さげとう)から。
立礼が済んだ直後とかですね。

木刀を左手に移して、携刀姿勢になります。
(※2)

右手を下からあてがい、右親指を鍔にかけます。

左手の親指で差し込む場所を探ります。
次いで右手で刀を前方に送り出しながら、
切っ先を左手親指の場所へ誘導します。

切っ先が入ったらゆっくりと木刀を差し込んでいきます。

完成。
上のパターンBの作法に近いです。
居合で鞘ぐるみ帯に差す動作とほぼ一緒。
足は引き付けるまでもなく、はじめから揃ったままですね。

※2
携刀の時も「柄頭が正中線」が正解。この写真はNGですね。ごめんなさい。

抜刀からの帯刀、携刀からの帯刀、いずれの場合も共通して重要なポイントが1つ。
「相手から・正面から目をそらさない」ということ。
何度か練習すれば自然にできるようになりますから、稽古を積んでくださいね。



さて、ここまででまだ説明してない重要事項が一つありますね。
「帯刀する場所」ってどこやねん!!
ということ。

居合してる人は真っ先に習うので今更、って話ですが、杖道から入った人は知らないのがふつうというか、改めて習うことってあんまりない気がしますね。

さくっと言えば、「帯と帯の間」です。
通常、帯は腹を3巻きしてると思いますが、厳密には「(内側から)1巻き目と2巻き目の間」という話を聞いたことがあります。
ホントかどうかまでは私は知りません。

帯に上から差し込んで、どこに出てくるのが正しいのか、それはこの写真をご覧ください。
帯と、袴の紐の間です。

ここが一番安定がよい、ということなんだと思います。
木刀だと袴の紐の下から出てきてもどうということはないですけど、本来なら重たい刀ですからコジリが下がっちゃったりするんだと思います。たぶん。きっと。おそらく。



…一応ここまで正確なところを書いてきたつもりなんですけども、じゃあ実際の稽古でほんとに100%完全に間違いなくこの通りやってるか、って言われたら全然そんなことないです。

正直に言います。
めっちゃ手抜きしてます。ごめんなさい。

「帯と帯の間」とか言いながらフツーにしれっと胴着と帯の間に差し込んでるし、
「帯と袴の紐の間」とか言いながら何食わぬ顔して袴の紐の下から出してます。

いやだってさあ、居合なら鞘一回差し込んじゃえばおしまいだから少々手間でも神経遣っても正確な位置にいれるしそうしなきゃいけないんだけどさあ。
杖道だと何度も何度も抜刀の度に正確にやろうとすると時間もかかるし左手がごそごそゴソゴソ動き回る羽目になるでしょ。
状況によっては多少雑でもまあいいかってなるでしょ。
後輩の皆さんにも、そこまで完璧を求めることは私にはとてもできませんのですよ。

演武とか審査ではちゃんとしましょう。私もしてるつもりです。

そこらへんのけじめはつけるということで、どうか一つご勘弁のほどを、なにとぞなにとぞ。


えー、話が少し脱線しましたが、注意点をざっくりまとめます。
・正面から視線を外さずに、左手だけ動かして帯を探る
・切っ先を左手に誘導し、そこから刀を差し込んでいく
・差し込み終わるのと同時に前足を後ろに引き付ける
・刀を差し込むのは帯と帯の間、コジリが帯と袴の紐の間から出てくるのが正しい
・杖道では柄頭が正中線に来るようにする
このくらいですかね。

あとは練習あるのみです。
だいじょーぶだいじょーぶ、鉛筆の持ち方と一緒で一度覚えたらすぐできるようになりますから。

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